従業員の84.6%が行動変容——熊本県実証事業で見えた健康経営の効果測定
「健康施策の効果を、数字で経営層に説明できない」——健康経営を担当する多くの方が抱える悩みです。この記事では、熊本県UXプロジェクト実証事業として、マルキン食品株式会社さまで実施した「お腹ソムリエ」の実証結果をご紹介します。84.6%の参加者が生活習慣の改善行動を開始し、社内健康施策の参加率は約2倍に向上——健康施策の成果が「数値で示せる」ことを確認できた事例です。
実証の概要
| 実施先 | マルキン食品株式会社(熊本県) |
|---|---|
| 枠組み | 熊本県UXプロジェクト実証実験サポート事業 |
| 実施内容 | 超音波画像による生活習慣評価「お腹ソムリエ」の測定会と、期間をおいた再測定(ポスト測定) |
| 検証内容 | 行動変容の発生率、社内健康施策への波及効果、血液データ・体組成データとの整合性(熊本大学教授監修のもと統計解析) |
結果1:参加者の84.6%が生活習慣の改善行動を開始
測定会では、超音波画像で自分の内臓脂肪・皮下脂肪・腹筋の状態をその場で確認し、スコアとあわせてフィードバックを受けます。実証の結果、参加者の84.6%が測定をきっかけに生活習慣の改善行動を始めたことが確認されました。
ポイントは、誰かに「変わりなさい」と言われたのではなく、自分の体の状態を見て、自分で動き始めたことです。参加者からはこんな声が聞かれました。
- 「一度見ちゃうと、自分のまずさに気づいてしまう」
- 「見ちゃったら怖くなったので頑張りました」
結果2:社内健康施策への参加率が約2倍に
もう一つの重要な成果は、既存施策への波及効果です。測定会の実施後、社内健康施策への参加率が約2倍に向上しました。再測定の際にも「測定をきっかけに社内イベントへ参加するようになった」という報告が多く寄せられています。
新しい施策を足したのではなく、すでにあった施策が「気づき」を入口にして動き始めた——これは、制度はあるのに使われないという健康経営の典型的な課題に対する、一つの答えだと考えています。
結果3:数ヶ月後の再測定でも「改善」が多数
行動変容が一時的なものでないかを確認するため、年末年始を挟んだ数ヶ月後にポスト測定(再測定)を実施しました。前回の参加者がほぼ全員参加し、結果は次の通りでした。
- 内臓脂肪や筋肉の状態が改善した参加者が想定以上に多数
- 悪化したケースは予想を大きく下回る少数
- 暴飲暴食になりがちな年末年始を挟んでも、状態を維持できた参加者が目立った
「見て、気づいた」体験が、行動の開始だけでなく継続の動機にもなっていることが確認できました。
なぜ行動が変わるのか——「見せる評価」の力
数値やアドバイスを渡すだけでは、人はなかなか変わりません。お腹ソムリエでは、超音波画像で自分のお腹の中——内臓脂肪・皮下脂肪・腹筋の状態——をリアルタイムで本人に見せます。この「自分の体を自分の目で見る」体験が、健康を他人事から自分事に変えます。
行動変容の考え方について詳しくは、健康経営は何から始めればいい?最初の一歩と成果につながる進め方もあわせてご覧ください。
科学的な裏付け:血液データとの整合性検証
この実証では、熊本大学教授の監修のもと、お腹ソムリエのスコアと血液検査・体組成計(InBody)データの関連性を統計的に解析しました。
- スコアと、HbA1c・血糖値・中性脂肪などの代謝指標との間に関連があることが示唆されました
- スコア60点以上の群と60点未満の群では、インスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)の平均値に差が見られました(1.14 対 2.86)
これらの結果から、超音波画像にもとづくスコアが、血液検査で見える代謝の状態とも整合している可能性が示唆されました。詳細はプレスリリースとして公開しています。
なお、お腹ソムリエは医療行為(診断)ではなく、生活習慣の評価と気づきづくりを目的としたサービスです。検証は現在も継続しており、より多くのデータでの再現性確認を進めています。
まとめ:健康施策の成果は「数値で示せる」
この実証で確認できたのは、次の3点です。
- 自分の体を「見る」体験は、84.6%という高い割合で行動変容を生む
- 気づきを入口にすると、既存の社内健康施策の参加率が向上する(約2倍)
- 再測定を組み合わせれば、施策の成果を経営層に数値で報告できる
「健康施策の効果をどう測定・報告するか」にお悩みの企業・自治体のご担当者さまは、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の既存施策に合わせた実施方法をご提案します。
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